ルーツを求めて
櫻井 静矢 さん
 
  



11月3日から8日間、ベトナム・カンボジアに姉夫婦と4人で家族 旅行をしてきました。下記はその旅行記です。





乗員42名を乗せたエメラル号は11時30分に出港した。ゆっくり15kmの速度で島と島を 縫いながら、島また島を進んで行く。時の流れにも気付かない時が流れていく。幻想的で 見事な水墨画のような自然芸術を、竹で組んだ椅子に座りながら又、デッキの手摺に持た れたりして見入って、心いくまで楽しんでいた。

1時間ほどして船内で昼食、海鮮中心のバイキング。姉夫婦と4人に初めて会う8名の旅仲 間12名で談笑しながら意気統合していった。パイン、マンゴー、オレンジジュースが実に旨 い。

食後3階のデッキに戻るとすぐ下船するという。小舟に乗り替え天空洞という鍾乳洞を見る ということであった。船着き場はラッシュであった。鍾乳洞の入り口は島の上部にあり、人、 人の行列であった。山口県の秋芳洞の4倍ほどの大きさであった。
すれ違う船に、入船してくる船に手を振りながら又エメラル号に戻った。すぐに3階のデッキ の指定席?にドカッと座った。足と腰が痛かった。頭をもたれ、移りゆく景色を見ていると、 きれいで、さわやかな海風が吹き渡り、時の立つのも忘れ私はまどろんでいた。

11月3日より10日までの8日間、ベトナム、カンボジアの旅に出たのだ。結婚35年、西高 同窓で幼馴染みでもある中島徹君(13組)がベトナムにいることもあり、思い立ったのであ る。それよりもましてテレビでベトナムの放送を見て、「私の先祖はベトナムから流れ来たの では?」と私の中のDNAがうずいたからであった。

福岡より直行便でベトナムへ。ハノイ空港のタラップを降りると32℃と蒸し暑かった。すぐ迎 えのバスに乗り込み、日本企業、中国企業の工場を見ながら、にぎやかな街を抜け、土煙 を巻き上げながら、炭鉱の街を通り、添乗員の説明を聞きながら一路ハロンへ向かったの である。ハロンにて1泊してハロン港のクルージングに出港したのだ。
どのくらいたったのであろうか。5人の男女のコロンビア人の明るく甲高い笑い声で、ふと目 が覚めた。おぼろげに気付くと二重三重にも連なった島影の向こうに沈みかけた、少しかす みがかかり、柿色の太陽が瞳に入ってきた。思わず椅子から立ち上がり、デッキに身を乗り 出し見入ってしまった。言葉が出なかった。

42名のほとんどがデッキにの上におり、写真を撮り合っていた。それでも船上は静かであ った。妻が「キレイネ」と近寄ってきて夕陽をバックに写真を撮ってくれた。絵葉書以上であ った。暮れゆくハロン港に私は全く溶け込んでいた。

空と景色は刻々と様相を変えていく。波の音も鳥の声も聞こえない。どこまでも静かであっ た。あたりは全く暗くなり、遠くに別の船の灯りが見えるだけであった。
客室に戻り、シャワーを浴び、夕食を終 えると3Fデッキで料理パフォーマンス、 皆で実演した太極拳、映画と行事を終え たのは11時30分をとうに過ぎていた。
私はベトナムにいることを忘れていた。 忘れていることも忘れていた。そしてこれ までの全てから解き放たれ解放感を味 わっていた。卵の黄身のような月がすぐ そこに浮いていた。月もまた良い。
ベトナムに住む中島徹君と会ったのはハロン湾泊後の3日目の ホーチミン廟であった。観光バスから降り、キョロキョロしている と、道路の反対側で手を振る中島徹君を見つけた。手を振ってく れなかったら気付かなかったかもしれない。なぜなら全くのベト ナム人であったからである。奥さんに会うのも久しぶりであっ た。
ハノイの人口は600万人、近年日本を初め、外資系企業の進出 で経済発展が著しくベトナム経済の中心となっているということ であった。道路、橋など日本企業により郊外にまで変貌して来 ていて、若者が各地から働きに来て街は活気があった。

中島徹君
交通手段は300万台いるというバイクである。両親と子の3人乗り、4人乗り、若者どうしの 3人乗りと何人乗ってもいいとのこと。郊外では牛をバイクにくくって乗せているのも見られ た。車は少なく、バイク、バイクの行列。まるで巣に急ぐ蟻の行列そのものであった。交通ル ールもあったもんじゃない。通れるところは歩道にでも乗りこんで通り過ぎて行く。クラクショ ンが絶えない。バンパーはぶつかって良いようについているのだから、ぶつけても仕方ない という考え方で、まさにこれが互いのハノイの交通ルールなのだ。

中島君の案内で一柱寺、ベトナム最古の大学文廟ホーチミン廟マーケット通り、繁華街 へ買い物に。道路を渡るのが大変で大騒ぎ!危険というより楽しかった!!記念の土産を 買い、日本人が多く来るというレストランで夕食を取りながら、ベトナムでの生活など談笑し た。中国にいる森山博夫婦が3ケ月前に来たとのことであった。

時が経つのは早いもので、水上人形劇場前にて旅行仲間と合流し、20時に中島夫婦と別 れを告げた。


明日はカンボジア・シュムリアップだ。
アンコールには60基以上の寺院遺跡があるという。代表的なものがアンコ ールワット、アンコールトム、バンテアイ・スレイである。

アンコール王朝(802年〜1430年)初代王ジャワヴァルマン2世が築き、隣 国タイに滅ぼされるまで630年余り続いた。

王が変わるたびに寺院が建造され、ヒンドゥー教、仏教と王が変わるたび、 ヒンドゥー寺院、仏教寺院が建造されたのであり、宗教戦争であった。


中島徹君夫妻と

世界遺産であるアンコールワットには、首を切られた仏像も何体 か見られた。西参道の入り口に立つと本殿にそびえる地上65mの 中心塔と左右前後に小塔が4基建っているのが見えた。永年の 風雨で黒ずんではいるものの、大迫力で面前に迫ってきた。「本 当にアンコールワットに来たのだ!」という感激であった。1113年 〜1145年にかけてスールヴァルマン2世によりヒンドゥー教の 三大神ヴィシャヌ神(シヴァ神、ブラマー神)を祀った神殿であり、 砂岩を材料に建立された。

四方敵から攻撃を防ぐ為、堀があり、両側の堀を見ながら西参道 の石橋(幅12m、長さ540m)を進んだ。一部分日本の早稲田大学 が補修したとのことであった。
中心塔の奥の院は三重の回廊に囲まれていた。第一回廊は一 周760mあり、東側の壁面にはヒンドゥー教の天地創造神話の「乳 海撹拝」の場面がヴィシャヌ神を中心に浮彫で描かれていた。そ の他、ヒンドゥー教の神々スールヤヴァルマン2世率いるクメール 軍、天女アブサラなど精密なレリーフ彫刻に見とれてしまった。砂 岩で細工し易いとはいえその技術に驚いた。日本の欄間が思い 浮かんだ。

又、シヴァ神の象徴である男性を表したリンガに触れて流れた聖 水が、女性を表したヨニを通り、水路へと流れて行く装置が寺院内 に数ヵ所見られた。階段は段差が高く、急で過去何人か落下し、 死亡者も出たという。

次に12世紀〜13世紀にかけてアンコール王朝最後の栄華を誇ったジャヴァルマンク7世 建造した仏教寺院アンコール・トムを訪れた。7つの顔を持ったナーガ(蛇)の胴体で綱引き をする神々の阿修羅の石造の欄干がある石橋を渡っていくと、「平和」、「慈悲」、「哀れ み」、「情」を表現している四面仏(高さ23m)の南大門を通り抜けて行く。参道が長いので 像に乗っていく観光客もいた。

本殿の屋根は仏の顔だけの顔々、のバイヨン寺院で異様であった。

その他、パプーオン寺院、ピミヤナカス寺院、像のテラス、木の根が絡んだタプロム寺院と 強行スケジュール。ハンカチで汗を拭きながら水が旨い。

アンコール・トムから北に40km離れたところに寺院全体が赤色砂岩と紅土を主材料として、 10世紀後半に建立された中央神殿に刻まれた女神像テヴァターの微笑みは「東洋のモナ リザ」と称賛されているヴァンテアイ・スレイ神殿へ向かった。寺院全体はそれほど大きくな く、精密な彫刻がしてあり赤っぽく美しい神殿であった。

夕方はプレループ遺跡に上がり、夕陽の観賞、人、人、人であった。

夕食はカンボジア宮殿舞踊であるアプサラダンスを見ながらのカンボジア料理バイキング。 どれも旨い!!踊りを見てカンボジアに来ていることを確実に実感した時であった。

翌早朝6時、朝日を見に出発した。5時半ごろまでスコールでドシャ降りの雨。一時は断念 したが、アンコールワットの西参道に着くと、これまた人、人、人で3000人はいただろう か?皆カメラ持参であった。空が明るくなり、うす雲の合間から太陽が見えた時、異様な歓 声があがった。大軍の兵士が王に向かって敬礼している映画のワンシーンを思い出した。 朝日もだが、この光景にエキストラの一人として感動であった。
各々の観光地には物売りが必ずいた。ほとんどが6才〜 12才位の子供で買ってくれるまでついて来るのである。 物を売るための日本語は完全にマスターしていた。買っ てくれる人。買わない人は敏感に解るらしい。結局、絵 葉書や小物でいっぱいになってしまった。買ってあげた 子供の輝いた瞳と喜んで帰る姿を見て悲しいくらいに私 も変に嬉しくなった。

現地添乗員、ホテル従業員、マーケット店員と片言の英 語を混えて話すようにした。日本より50年、60年遅れて いる様だが、人も街もどこがどうということではないが、 違和感はなかった。
私のDNAは静かで遠い過去の匂いは確かに感じた。
遺跡もハロン湾クルージングも食べ物も人々も大満足の 旅を終えることができた。
写真を整理していると又、旅に出たくなっ た。実に旅はいい。


  



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