2足のわらじ
池田 賢一 さん
 

三和ゆめランドの理事長室で
  



長崎市内で「株式会社池田設計」という設計事務所を経営するかたわら、長崎市宮崎町(旧:西彼杵郡三和町宮崎)に障害者授産施設「三和ゆめランド」を開所し、運営を続けていらっしゃる池田賢一さんのご紹介です。
ひょんなことから福祉の道へ入り、「あれもやりたい、これもやりたい。」と次から次に様々な構想は浮かびます。
「いつになったら悠々自適の生活を送れるのか、困ったもんだ!」と言いながら日々、精力的に活動されています。




西高卒業後、東京の大学で建築を学び、大学院を卒業し、大手ゼネコンに就職が決まっていましたが、家庭の事情で長崎に帰りました。

昭和50年、1級建築士の免許を取り、個人事業主→有限会社設立→株式会社と少しずつ事業を広げていきました。
本業としては出島の復元事業にも関わり、オランダまで勉強にも出向きました。

最初は個人住宅の設計などをやっていましたが、そのうち福祉施設の設計などを多く手掛けるようになりました。

そういう仕事を通じ、知りあった車いすデザイナーの光野有次さん(諫早在住・ (株)無限工房 取締役会長)の影響を受け、自分でも障害者授産施設を運営することになりました。



平成14年4月1日、長崎市宮崎町(川原海水浴場の近く)に「三和ゆめランド」(身体障害者通所授産施設)を開所しました。
(鉄筋コンクリート一部鉄筋造 2階建 延床面積769u )

仕事がら施設の中にはみんなが使いやすいように様々な工夫を凝らしました。

開所して6年たちますがとてもきれいに保たれています。
池田さん設計の建物「三和ゆめランド」
さすが1級建築士です。
こういう施設の建設費用は7割が国の補
助金で賄われます。
◆身体障害者授産施設とは◆
身体に障害があって働くことが難しい人
に、仕事を提供し、やがては一般企業へ
の就職などへ結びつけるための職業訓
練を行う施設です。

現在通所しているのは約35名。18歳から60歳までの障害者を受け入れ、7名の職員で運営しています。

この施設を開所するにあたって心に決めたこと。
封筒張りなどの企業の下請けはやらず自前の事業をやっていこうと思いました。
ありました!24時間テレビ、「愛は地球
を救う」の寄付金で貰った車です。
この施設での仕事は夕方4時まで。
自分で通所出来ない人はこれらの車で
送迎をしています。



◆さてどんな事業をやろうか!
  ふと近くの山を見上げるとびわの木がたくさんありました。
  これを使って何かできないか!びわの葉は近所の農家からたくさんいただくことが出来ます。
  びわ茶を作ろう!

◆では、これを売るためにはどうするか!
  障害者が作りましたと言って宣伝したら、同情から人は1度は買ってくれるかもしれない。
  しかし、おいしくなければ、そしていいものでなければリピーターにはならない。
  「ちゃんと事業として成り立つようにするのが自分の仕事だ。」

◆売れる商品にするにはどうしたらいいか!
  ・おいしいこと
  ・体にいいものであること
  ・パッケージもおしゃれであること
 びわ茶生産作業
この製茶機は静岡より取り寄せました。
ビワの葉は近所の農家から貰ってきたり
もします。
ビワ茶の効能
強壮、疲労回復、下痢止め、湿疹、
あせも、咳止め、健胃、制ガン作用
があると言われています。
出来あがったお茶
今はこの包装ですがも
うすぐ変わります。
びわ茶の色はピンクがかった
きれいな色です。

びわの種(粉末)

意外と売れているんです!!
今注目のアミグダリン効果・・・のどのはれや痛みなどを抑える消炎作用などがよく知られています。あとアミグダリンには、腰痛、肩こり、冷え性、高血圧、リウマチ、血液浄化作用があります。

三和ゆめランドのびわの種は、1個1個薄皮をむき、微細粉末にしています。
苦さや、匂いもなく、飲みやすくなっています。
産学連携の研究として補助金が付き、現在このビワの種の効用を九州大学で研究してもらっています。

ジャムも作っています。
ジャムを作る作業場
作っているジャムは4種類。
左から、すもも、とまと、いちじく、びわジャム
いずれも防腐剤等添加物は使っていません。も
ちろん無農薬。一番右はビワの種です。
出来あがった商品の倉庫です。



中には広い食堂があります。
通所しているメンバーの方と池田さんも
一緒に私までお昼をいただきました。
とても味付けがよかったですよ。
女性の方が何人か集まって手芸をして
いました。
施設の中には障害者用トイレがたくさん
あります。
こんなトイレはあまり見たことがありませ
んよね。
障害の程度により床に寝そべったような
状態で服を脱ぎ着してトイレが使えるよう
に作りました。


今後は I’sファーム(アイズファーム)ブランドとして売り出します!

近くに買った畑に植えたビワの木。
大きくなるのにまだ3年かかります。
この温室は花の苗を育てています。これ
も長崎市の委託でやっている事業でそ
の苗が公園や道路端に植えられます。
畑に置いてあった作業用のトラック。
なんかおしゃれでかっこいいなあと思い
ました。

◆自前の農作物を栽培します
この施設を作る以外に近くに畑も買いました。現在畑は4千坪あります。
ここにびわの木600本、ザクロ50本、イチジク50本を植えました。
 
◆通所者の障害の程度や性格にあった仕事をしてもらいます。
外にでて畑仕事をやるのが好きな人。
車を運転出来て配達などをやれる人。
パソコンを操ってネット上で商品を売ってその管理が出来る人。
施設の中でお茶の生産やジャム作りをやる人。

◆事業として軌道に乗せるのが私の役割です。
それぞれにあった仕事をしてもらい、それで生活できるほどの収入になるように考えるのが自分の役目だと思っています。
障害者は親が付きっきりで過保護になっている場合が多いのですが、けして甘やかしたらいけないと思います。
なぜって、親はいつまでも子供の側にいることは出来ない訳ですから。

 ◆近くの農家と連携します。
このあたりの農家の年収は夫婦で働いてもとても低いのです。ですからなかなか後継者が育ちません。
たとえばびわが消費者の手に渡るまでに7つの仲買業者が入っているそうです。
もし、インターネットでの販売が軌道にのれば、その農家の品物の販売も引き受けて、少しでも手取りが多くなるようにしたいのです。そうしてこの地域に貢献できるようになりたいと思っています。
 

どうしてこんな大変なことを始めたんだろうと思います。
しかし、途中でやめたらこれまでのことが無駄になります。
ですから何としてもやり遂げなければと思っています。
まだまだやることがたくさんあります。長生きしなければなりませんね。
(池田さんのつぶやき)



株式会社池田設計
〒852-8106長崎市岩川町2-3
池田ビル5F
TEL:095-844-0022
身体障害者通所授産施設
 三和ゆめランド
〒851-0408 長崎市宮崎町893番地
TEL/FAX 095-892-3600
E-mail:info@sanwa-yumeland.or.jp
三和ゆめランドの商品は下記の場所で入手できます
  JR長崎駅キオスク
  道の駅 みさき駅(長崎市布巻町)

今後販売する場所はどんどん増やす予定です。
新しいホームページも10月中旬に完成の見込み。

三和ゆめランドのホームページ→ http://dejimafukushi.or.jp/sanwayume/

  



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