長崎新聞掲載の立石副知事へのインタビューの記事(2006.4.11)

◎県政改革のキーマン・1/立石暁副知事(57) 県民の痛み施策に

 金子知事は、県政の重点施策を推進するため、一日付で大幅な機構改革と人事異動を実施した。長年の懸案課題にどう取り組み、「県民本位」の県政をいかに進めるのか。改革のキーマン七人に抱負や政策などを聞く。
 
■ 副知事二人制が四年ぶりに復活。抱負を。
 三期目に入った金子知事から「県民主体の県政を実現するために一緒にやってくれ」と言われ、身が引き締まる思いで引き受けた。男冥利(みょうり)に尽きる。その一方で、職責の重さを痛感している。困難な課題が山積しており、副知事一人ではどうしても目の届かない部分が出てくる。二人制に戻ったことにより、複雑多様化する課題に柔軟に対応でき、副知事それぞれが担当する所管事務への責任もあらためて明確化された。地元出身の副知事として県民の痛みや苦しみを少しでもくみ取り、施策に反映していきたい。

■ 九州新幹線長崎ルートを含む懸案課題にどう対応するか。
 「雇用創出問題」「子どもが安心安全に育つ地域づくり」「文化振興」の三課題を中心に取り組む。これまでの行政経験や人脈をフルに生かしたい。長崎ルートに関しては、整備できるチャンスがようやく回ってきた。県民一人一人にその意義を理解してもらう努力を続け、この絶好の機会に何としてでも推進したい。「JR並行在来線を複線化してほしい」との声も一部にあるが、残念ながら、複線化を実現する事業制度はないのが現実だ。

「平成の大合併」により七十九市町村が二十三市町になった。県と市町との関係はどうあるべきか。
 国や県の押し付けではなく、各市町がどういった観点で新しいまちづくりに取り組むか注視している。地元住民による自発的な試みに対しては、県としても全面支援する。その際、県職員が住民の中に足を運び意見を聞く「現場主義」を徹底したいと考えている。

■ 県庁”活性化”をどう図るか。
 給与削減が続く中で県職員が頑張っている事実を十分に踏まえながら、まずは県庁全体を元気にしたい。元気じゃないと、いい事業は発想できない。県民にプラスになるサービスや政策を実践できなければ、行政マンとしての価値がない。厳しい言い方をするが、もしそれができない者は県庁を去るべきだ。志と気迫を持って職務に当たってほしい。

(聞き手は報道部・平義彦)

【略歴】
 たていし・さとる 九州大法学部卒。1971年入庁。企画部次長、政策調整局長、教育長などを歴任、政策通で知られる。特に教育問題、文化振興に関しては「これまでのノウハウをすべてぶつけたい」と意欲的。趣味は読書や絵画鑑賞。長崎市出身。